Bloody Kiss
『あの吸血鬼』と言った瞬間物凄く嫌そうに顔を歪めていた。この青年はそれ程までに吸血鬼を嫌っているということか。

袋に視線を戻し、このお金を受け取るべきか考える。大きさからみて今回の報酬の半分くらいだろうか。

「受け取らない、と言ったら?」

男をまっすぐ見据え、反応を窺う。

「もし君が頑なに拒むようなら無理にとは言わないよ」

強要するつもりはないってことね。
お金はあるに越したことはない。毎日の宿代だってバカにならないし。敵である男から受け取るというのは癪だけど素直に従うことにする。

「わかった。これは受け取るわ。昨夜のことは許さないけど」

袋を受け取りながら、刺々しい言葉を付け足す。

この男は恢を殺そうとしたのだ。許せるはずがない。

肝心の男は全く気にする様子もなく、胡散臭い爽やかな笑顔を張り付けている。

「構わないさ。許されたいと思っていないからね」

一拍おいて急に男の顔から笑みが消えた。

「……やっぱり昨日アイツを殺すべきだったな。そうすれば君の首筋に傷がつくこともなかったのに」

反射的に手で傷痕がある場所を隠す。

どうして気付いたの?
傷痕が見えないような服を選んだし、髪も下ろしてる。
普通なら気付かれるはずないのに。



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