Bloody Kiss
それは、私の知らない出来事だった。
「その片割れに血を入れられて、俺は吸血鬼化した。そして、俺を助けようとしていたエリィの血を吸い……」
恢は目を逸らして、小さく呟いた。
『殺した』
本当に小さくて、辛うじて口の動きでわかったようなものだけど、確かにそう言っていた。
『エリィを殺したのは俺だ』
この言葉は、本当にそのままの意味だったんだ……。
エリィを殺したのは恢で、その原因となったのがあの吸血鬼。
「……」
「おやおや」
「っ!?」
声を掛けようと口を開いた瞬間、第三者の声が響いた。
近くには誰もいなかった。気配だって感じなかった。いつの間にこんな近くに……!?
すぐに恢の表情を窺う。
それは驚愕の表情。
つまり、あの恢ですらこの第三者の気配に気付かなかったということだ。
「こんなところにいらしたんですね」
優雅な言葉遣いで恭しく頭を下げる男。
「迎えに参りました、姫様」
何……?
一体何が起こっているの?
突然の展開に頭で理解しきれず呆然と目の前の光景を見ていた。
「お前はっ!」
突如恢が激昂して男に向かっていき、男に接近した直後大きな音と共に反対側の木々がなぎ倒された。男の近くに恢の姿はなく、代わりに倒された木々の根元に大きな傷を負って倒れていた。
「……嘘っ……」
恢がこんなにあっさりと投げ飛ばされた……?
「オヤに逆らうとはいけない子ですね」
男が何か言っていたけど、そんなのどうでも良かった。
今は一刻も早く恢の所へ行かなくちゃ!
「恢っ!!」
遠くてしっかりとは見えないけど、怪我が相当酷いことはわかる。起き上がる気配すらないってことは最悪の場合だってあり得る。
走り出そうとした瞬間、何者かに腕を捕まれ阻まれた。
「行かせませんよ、姫様」
何者かなんてこの場に一人しかいない。
振り向くと男が笑顔で腕を掴んでいた。離れた場所にいたはずなのに一瞬でこの距離を詰めるなんて、やっぱりこの男人間じゃない。
「離してっ!」
「その片割れに血を入れられて、俺は吸血鬼化した。そして、俺を助けようとしていたエリィの血を吸い……」
恢は目を逸らして、小さく呟いた。
『殺した』
本当に小さくて、辛うじて口の動きでわかったようなものだけど、確かにそう言っていた。
『エリィを殺したのは俺だ』
この言葉は、本当にそのままの意味だったんだ……。
エリィを殺したのは恢で、その原因となったのがあの吸血鬼。
「……」
「おやおや」
「っ!?」
声を掛けようと口を開いた瞬間、第三者の声が響いた。
近くには誰もいなかった。気配だって感じなかった。いつの間にこんな近くに……!?
すぐに恢の表情を窺う。
それは驚愕の表情。
つまり、あの恢ですらこの第三者の気配に気付かなかったということだ。
「こんなところにいらしたんですね」
優雅な言葉遣いで恭しく頭を下げる男。
「迎えに参りました、姫様」
何……?
一体何が起こっているの?
突然の展開に頭で理解しきれず呆然と目の前の光景を見ていた。
「お前はっ!」
突如恢が激昂して男に向かっていき、男に接近した直後大きな音と共に反対側の木々がなぎ倒された。男の近くに恢の姿はなく、代わりに倒された木々の根元に大きな傷を負って倒れていた。
「……嘘っ……」
恢がこんなにあっさりと投げ飛ばされた……?
「オヤに逆らうとはいけない子ですね」
男が何か言っていたけど、そんなのどうでも良かった。
今は一刻も早く恢の所へ行かなくちゃ!
「恢っ!!」
遠くてしっかりとは見えないけど、怪我が相当酷いことはわかる。起き上がる気配すらないってことは最悪の場合だってあり得る。
走り出そうとした瞬間、何者かに腕を捕まれ阻まれた。
「行かせませんよ、姫様」
何者かなんてこの場に一人しかいない。
振り向くと男が笑顔で腕を掴んでいた。離れた場所にいたはずなのに一瞬でこの距離を詰めるなんて、やっぱりこの男人間じゃない。
「離してっ!」