Bloody Kiss
とにかく早く恢の元に行きたくて腕を掴んでいる手をどうにか引き剥がそうとする。逆の手で掴んでいる手を押さえ、力一杯引いているのにびくともしない。

「いやっ!離してっ!」

「私としたことが、力の加減を間違えてしまったようですね。少し黙らせるつもりが永遠に黙らせることになりそうです」

男が笑顔のまま残酷なことを言う。恢がこのまま死のうがこの男には関係ないのだろう。

「恢っ!」

早く恢の安否を確認したいのに掴まれた腕が枷となって動けない。

「離して!」

「っ!」

一瞬掴んでいる手の力が弱まり、その隙に手を振り払って恢の元へ急ぐ。ただ無我夢中で走った。また捕まる前に恢の所へ行かなくちゃって、ただそれだけを考えていた。

「恢!!」

スピードをつけすぎて転がるように恢の側に滑り込んだ。
酷い傷。胸の辺りに大きな傷がありそこから血が溢れだしていた。このまま放っておけば本当に危ない状態だ。

とにかく少しでも出血を止めないと!

迷わず上着を脱いでそれで傷口を塞ぐ。強く圧迫しているのに血が止まらない。

「恢!恢!!目を開けて!」

気を失っているのか目を閉じている恢に呼び掛ける。

まだ結晶化はしていない。なら助かる方法はあるはず。あのときと同じように血を飲めば回復出来るかもしれない。そのためには恢に起きてもらわなくちゃ。

「いつまで寝ているのですか?目覚めなさい」

男は元いた場所から動いていなかった。その場所からよく通る声が響く。

「うっ……」

「っ!恢っ!!」

男の声に反応するように恢が目を開けた。

「良かった!早く私の血を」

「いいえ、血を飲むのは貴女です」

「っ!?」

近くで男の声がする。
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