Bloody Kiss
店内はやはり薄暗く、繁盛しているようには見えない。

「あ、恢!」

ぐるりと店内を見渡し、棚の向こうに白銀の頭を見つけ、すぐに駆け寄った。
恢が見ているのは古びた対獣用の狩猟銃だ。

「……これ、売り物?」

あまりにも古く汚れている銃に思わず首を傾げる。

「残念だがそいつは売れねーなー」

ふと店の奥から嗄れた男の声が聞こえた。その声の出所には中年でがっちりとした体格の男が煙草をくわえてこちらを見ている。恐らくこの店の店主だろう。

「売り物じゃないのに置いてるの?」

「展示だよ、展示。こいつはバケモノを倒した時の相棒だったんだ」

「……バケモノ?」

その言葉に無意識反応してしまう。

「おぅ!お嬢ちゃんも聞いたことあるだろ?人を襲うバケモノの話」

「えぇ、普通の獣と違ってただの狩猟銃じゃ死なないのよね」

そのバケモノについてはよく知っている。
不気味な赤い目の獣。
人の生き血を啜るバケモノ。

「そうさ!俺達は決死の格闘の末そいつの首を討ち取った!そん時の記念の品なのさ」

「ふーん」

こんな何の変哲もないただの銃でバケモノを倒せたとはとても思えないけど、面倒なので黙っておこう。



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