紺色の海、緋色の空
人と車で溢れかえる交差点を泳ぎ、やっとの思いでストリートに出た僕は、思わずそこで立ち止まった。

街路全体が芸術的な曲線を描き、奥へ奥へと石畳が緩やかに伸びている。それに寄り添うかのように、荘厳で瀟洒な建築物が軒を連ねていた。

広い道端には二階建てバスやブラックキャブがズラリと並び、たくさんの観光客が歩道を歩いていた。

「すごい」

とシロナが呟いた。

確かにすごい。

文句なしに美しい街だった。

今さらながら、日本とは文化も風習もまるで違う異世界にたった二人で放り出された気分がした。

しばらく歩くと、リバティの茶色いトンガリ帽子が見えた。

その他にも数多くのブランド店がひしめき合い、活気の中にもどこか洗練された、一種独特の空気を演出していた。

僕たちは当初の目的を果たすべく、郵便局を探し歩いた。

このあたりに必ず「彼女」が絵はがきを投函したポストがあるはずだった。

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