only one
そして気がつけば私は竜一に促されるままに婚姻届にサインをしていた。
「これで、莫大な資産は俺の物だ!」
私から奪うようにして婚姻届を手にして竜一の高笑いと共に聞こえてきた言葉に私の頭の中で警笛が鳴った気がした。
莫大な資産…。
「バカな女だな。
お前は大事にされていた誰よりもな。
あのじいさんはお前に財産の全てを譲ると遺言を残していたんだ。
仲村も他の連中も、お前を置いて出て行ったんじゃない。
俺らが無理やり追い出したんだ。
罠にはめてな…
今頃主人殺しの罪で警察で話を聞かれているはずだ。
じいさんの遺体も後で警察が持ってくだろう。
検死に出されるみてぇだしな。
こんなに上手くいくとはな…。
シナリオ通りに進みすぎて笑いが止まらねぇよ。」
竜一の口から次々と吐き出される信じられない言葉に私の目の前は真っ暗になった。