only one
そのまま意識を失った私が目覚めたのは温室の奥に作られた部屋だった。
かつてマツが使用するためだけに存在していた部屋だった。
何度も温室を訪ねてもマツはこの部屋に私を入れてくれることはなかった。
どうして?って尋ねても散らかってるからって返事が返ってきてた。
その部屋に私はいる。
狭いけれどとても綺麗な部屋だった。
「散らかってるなんて、…嘘ばっかり。」
私が部屋に入れてもらえなかったのはそんな理由じゃなかったんだね。
まるで屋敷の中の司令室のように壁一面に設置されているモニター。
この部屋からは屋敷中の様子を知ることが出来た。
「みんな本当に嘘つきなのね。」
誰もいないとわかっているのに私は誰かに聞いて欲しくてポツリと言葉を落とす。
温室の世話をするために屋敷に雇われているだなんて、マツも彰人さんもずっと私を騙していたのね。
竜一が来ると必ず彰人さんに温室に誘われたのもモニターで屋敷を監視しているからだったのね。
『お前は大事にされていた。誰よりもな。』
竜一の言葉が耳の奥で木霊する。
気付かなかったのは私。
疑ったのは私。
自暴自棄になって、私は彼らの優しさを裏切ってしまった。