only one
温室のモニター室に映る竜一の姿。
春香を彰人や旦那様から奪った張本人。
俺は携帯で彰人に電話を掛けた。
「あ―、俺だけど…。
遥夢に温室に来るように言ってくれるか?」
竜一から遥夢を隠す為に奴が屋敷を訪れる度、彰人に連絡をする。
組織を束ねる甲斐性もないくせに旦那様から、その地位を奪った竜一。
抗争で有能な側近を失ったため、トップの座を手に入れたものの旦那様や彰人に力を借りなくては纏めることすら出来ない無能な男。
今、この現状で遥夢の存在を知られるのはマズい。
竜一はきっと遥夢を又、傷付け利用しようと企むに違いない。
「マツさん!」
考え事をしている俺の背後から掛けられる遥夢の弾んだ声。
「おっ、来たか。」
微笑む遥夢に俺も笑みを浮かべた。
いつものようにガーデンセットに座ろうとする遥夢の手を引いて温室の奥へと導いた。
「今日はこっち。」