孤高の狼に捧ぐ恋唄
警察官に不審そうな目で見られ、何と言おうか思案していると、ちょうど病室から羽生さんが出てきた。
羽生さんは私たちに気付くと、見張りの警察官に二言三言話し、手招きをした。
そばへ行くと、羽生さんは亜龍の様子を教えてくれた。
月が「亜龍と話したい」と言うと、羽生さんは少し眉をひそめ、困った顔をした。
何度か押し問答が続き、ややぁって羽生さんが頭を掻きながら折れた。
月は私は廊下で待つように言ったが、私もついていくと言い張り、月は渋々と了承した。
月が先に病室へ入り、私を庇うようにして亜龍と対峙した。
亜龍はベッドの上に起き上がり、月と私を見つめていた。