孤高の狼に捧ぐ恋唄


「迷惑かもしれないけど、私は、

月の罪を、業を、一緒に背負いたいよ」



つぅっと月の頬に、一筋の煌めきが出来た。



「明日香は妹に似てる……」



そう言った月は私の方を向きながらも、私を見ていなかった。



まるで私の向こう側に妹がいるかのように、一点を集中して見ている。



でも、良かった。


私はそう思った。



初めて、月の人間らしい顔が見れた気がしたから。

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