Rusting rail <短>
学校の友達は、割と素直な子が多い。
“田舎だから”というとただの偏見かもしれないが、
ニュースで深刻に議論されているような問題なんて、全く身近に感じることはない。
夜遊びだって、たとえしたくとも、その環境がないから、どうしようもない。
だって、夜は外灯も消えて真っ暗になる町で、深夜徘徊なんて無意味なのだから。
たとえ家出なんかしたとしても、夜空に敷き詰められた星の下で寒さに凍えるか、
せいぜい友達の家に、コッソリお世話になるくらいしか方法がない。
真っ直ぐ生きている。
なんて言えば、聞こえはいいかもしれないが、本当はただの、籠の鳥。
単に“やらない”のではなく“できない”だけなのだ。
それが幸せなのか、不幸なのか……
それは、どちらも知った時に、それぞれが選ぶことなのだろう。
そして、当たり前に、険しい受験戦争なんてものも有り得なくて、
この町の誰もが、何の迷いもなく、ただ流されるままに、高校までの道のりを歩いていく。
それが、ごく普通のことなのだ。
私も例外なく、当然その中の一人。
本当の自由を知らない私は、これといった不自由を感じることもなく、
周りと同じように、それなりにテレビに映る都会への憧れを持ち、日々を笑って過ごしている。
消化している……
と言ってしまいたくもなるけど。
“裕子”という16年間付き合ってきたこの名前も、平凡な私には、
笑ってしまうくらいピッタリだと思う。