Rusting rail <短>
学校帰り。
いつもの友達と別れ、見飽きた田んぼ道を過ぎる。
その田んぼ道が途切れた後、廃れた駅を横目に、私は家路へとつく。
人が降りてくるのも、乗っていくところも滅多に見ることのない列車が、意味もなく停車する駅だ。
けれど、あと数週間もしないうちに、この列車を見ることは無くなるらしい。
理由は簡単。
使わないから。
……ただそれだけのこと。
二時間に一度程度しか、この町に姿を見せない列車を待つのは、返って煩わしく、
大抵の人は、車を交通手段としている。
車に乗ることのできない老人は、この町から出掛けない。
自慢できるようなものが何もないこの場所に、観光客が来るような見せ物も、あるはずがない。
あってもなくても、どうなってしまおうが、誰の生活にも影響は出ないものなのだ。
それは、毎日のようにこの列車と会う私にとっても、同じこと。
止まった風景の一部から列車が消え、鈍く光った線路だけが残る。
……それだけのこと。
ほんの些細な変化に過ぎない。
幼い頃は、いつかこの列車が、私を何処か知らないところに運んでくれるものなのだと、無邪気に信じていた。
この列車に乗れば、希望に満ちた世界が広がっているのだと、まだ見ぬ未知に、想いを馳せていた。
ずっと続くこの赤く錆びた道の先には、何が待っているんだろう――
こんな昔のおぼろげな夢は、ついに一生叶わぬものとなってしまったのだ。
そのことに、そっと落胆のため息を落とすと、
あっという間に、足下の茶色い土の中へと吸い込まれていくのが見えた。
別にそれだけの他愛ない話で、気に止めることなんてしないけど。