俺だけの愛しい妹
「チッ」
お兄ちゃんは舌打ちをした。
あたしの手や口、足を縛り、部屋を出て行った。
そして、また部屋に戻ってきたお兄ちゃんの手には――
「結菜、静かにしててね」
笑ってお兄ちゃんは部屋へ出て行った。
拓哉は玄関のドアを開けた。
「どうしたのかな?田口君、だっけ??」
平然としていた。
さっきまで、目の前にいる田口を気絶するまで殴ったというのに、笑顔を向けていた。
それに田口は驚いていた。
「菊池……菊池結菜さんは?」
「結菜は、もう寝たよ?」
嘘。
「本当ですか?嘘でしょう??」
「どうしたの?急に。まぁ、上がって」
拓哉は田口を家へと入れた。
そのとき、拓哉の手に握られていたのは、包丁――