俺だけの愛しい妹
田口が危ないっ!
殺されるっ!!
あたしは身動きが出来ないのに苛立ちながら、どうにかほどけないか試みていた。
お兄ちゃんの手に握られていた包丁。
きっと……いや、絶対に田口を殺すために、“凶器”だ。
どれくらい経っただろうか。
リビングで拓哉と田口は話していた。
「君、結菜のこと好きなの?」
後に手を組、包丁を握る。
拓哉は優しく聞いた。
「いえ、別に。それより、同居してるんですね?」
田口の質問に拓也は「まぁね。好きだから」と笑って答えた。
「なにか、飲む?」
「いえ、それより結菜さんは」
田口のその言葉に、拓哉の真由はピクッと動いた。
「だから、寝てるって」
「嘘ですよね?さっき、見たんですよ?あなたが結菜さんを――」
!?
田口の頬に突きつけられた包丁。
「それ以上、結菜の名前呼ばないでね。首、飛ぶよ」
笑って、あくまでも、笑って拓哉は言った。