わがままモデル王子は危険な香り
ドアが壊れると、達明が別荘の中に入っていく

家具には白い布がかかっていた

ほこり臭い

しばらく使われていないようだ

私は達明に引っ張られるがまま、二階にあがっていく

一番奥の部屋のドアを開けると、私を投げ入れた

そしてすぐにドアを閉められた

広い部屋に一人
埃臭い部屋に閉じ込められた

「た、たつあき?
どういうこと?」

私は閉められたドアを叩いた

廊下側のドアにはノブがあった
しかし部屋のほうにはノブがついていない

私は自由に家の中を歩けない

やっぱり達明によって監禁されるんだ

「莉緒は間違ってることをしたから、お仕置きだよ」

それだけ言うと達明は階下に行ったようだ

部屋から離れて階段をおりていく音が聞こえた

私は、窓の近くによると、両足を抱えるようにして座った

月明かりが部屋に差し込んでくる

窓は鉄格子がはめられていて、逃げられないようになっている

ここは何のための部屋なの?

普通、こんな部屋はいらない
達明が用意した?

ううん
違う

達明じゃない

だって鍵が替えられていた

ずいぶん前からこの部屋は、監禁ように使われていた

私以外にも誰かが監禁されていた?


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