天使的恋愛論


暫くパクパクと口を開いたり閉じたりすると、「ふあー」と変な溜息をついた。


「……さく、ま?」


本当に大丈夫だろうか。
――面白いは面白いんだけど、少し心配になってしまう。

俺の言葉にピクリ、と反応したかと思うと、すごい勢いで後ろに下がっていく。もちろん、座ったまま。

ズザザ、と音をたてて。

何事かと目を見開いた俺に、彼女は恐る恐る言った。



「っ、あ、あたし…食べられちゃう、の?」

「………は?」


予測していなかった言動に、俺は思わず間抜けな声を出してしまった。


「…わ、私なんか食べても、絶対美味しくないよ?お、お肉はたっぷりなんだけどっ…!」

「さ、さく…」

「だ、だってほら!あんまり脂身だらけのお肉って、美味しくないでしょ?」

「さくま、ってば」

「食べるなら、調度いい体型の…ホラ、里菜ちゃんとか!っ、あ~!駄目!里菜ちゃんもだめ~!」


どうやら、作間は何かひとりで話を進めている…というか、制作しているようだった。
あわあわ、と手足を動かして俺から離れようとする彼女の腕を、俺はそっと掴んだ。


「ディ、ディナータイム!?」

「さ、作間…聞いて?」


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