合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
「……髪、切った方がいいよ絶対」

「起きるなりそれかよ」


あたしをにらみつけると、不意にニヤッと笑って紙袋をあたしに差し出した。


「結局何にも食ってないだろ。これ食う?」

「……?」


受け取った紙袋をかぱっと開けると、ほかほかのパンがたくさん入ってた。


(……焼きたて?)


「買ってきてくれたの?」


塔也は無表情でちらっとあたしに流し目をくれた。


(なんで無表情?)


でも、顔色もいいし、元気そう。

もうすっかりいいのかな?


「……ありがと」


あたしは素直にそう言った。
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