合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
塔也はそれには何も言わず、髪を拭きながら言った。


「オレもう大丈夫だから、今日は帰れよ」


あたしが夜中やってた宿題の残骸に目を落とす。


「また明日からでいいから。帰れ」



まさにパンをぱくつこうとしてるときに「帰れ」とか言われて。

口を開けたままストップしてたあたしに、塔也は気付いた。


「まぁ……まずはパン食え。オレにも1つちょうだい」


片手を伸ばしてパンを受け取る。



歩き回りながらパンを食べてる塔也を何となく眺める。


(この人も食べるのね……って当たり前だけど)


食べてるところ、見たことなかったから、何だか意外に思った。


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