さようなら。
哲への不安とあたしへの不満が

次々と言葉にして出る。

そのぶん少し軽くなる。

けど

だけど

言葉にしたって

状況が変わるわけじゃない。

「テツ先輩には口止めされたけど

テツ先輩、本当は怪我してた

浜谷先輩と俺にしか

監督にも言ってなかった

テツ先輩さ、肘壊してて

投げるたびに悪化してくんだ

あと一ヶ月長く練習してたら

箸も持てなくなるくらい

重い怪我だったんだ

『優花に心配かけたくない』

なんかい説得しても

その一言だけだった

『甲子園に行きたいのは

俺も優花も同じだ

怪我を理由にして逃げたくない』

そう言ってた」
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