さようなら。
だけど、哲が来る。

久しぶりに哲に会える。

不安もあったけど、それよりも

会える喜びのほうが大きかった。

やっぱり哲が好きだって

思っちゃう。

「じゃあ俺、帰る

二人で話せよ」

「匠!?

二人なんて無理……」

だけど匠は聞いてなくて

さっさと行ってしまった。

あたしに今、どうしろって……?

あたしは今、なにをしたらいい?

哲のためになにを……

あたしはなにを……

「……優…花?」

後ろから聞こえた声。

久しぶりに聞く愛しい人の声。

会えて嬉しいはずなのに

後ろを向くことができない。

顔を上げることができない。
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