2つの世界
違う。麻莉は今でも悠斗くんが…。

そう言いたかったけど…。あたしから言うのは違う気がして。

言わなかった。

「ねぇ、このまま終わっていいの?」
「もう、終わってる。」
「もう好きじゃなくてもスッキリしてない。だから、麻莉も悠斗くんも荒れてるんでしょ?」
「…。」
「余計なお世話だって思うかもしれないけど…あたしは。麻莉も悠斗くんも大切な友達だから…」

まだ言いたいことはいっぱいあったけど、泣いちゃいそうだったから…。

「話すこともできないの?好きでも終わらせるつもりなら、気持ちよく終わらせなよ。」

そう言って、走った。1人になりたくて。

2人とも同じ気持ちなのに、やり直せないの?

あたしは、なんにも出来ないの?

波留さんは、そりゃぁ、ムカつく。

あの人のせいでこうなったから。

でも、2人がお互いの気持ちを話せないのは波留さんのせいじゃない。

2人が相手に話そうとしないだけ。

心を閉ざして。

波留さんに、タンカをきることも出来る。

でも、そんなことしたって意味ないから…。

やっぱり、2人に話すように言うしかない。

あたしは、自分の無力さを悔やんで泣いた。
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