2つの世界
†悠斗†

「話すこともできないの?好きでも終わらせるつもりなら、気持ちよく終わらせなよ。」

名取の言う通りだな。

俺は、麻莉に別れを告げてから何もかもどうでも良くなった。

夏目波留とは、付き合ってるって事にしてるけど好きなんかじゃない。

俺が犠牲になれば麻莉は桜だとバレることもなく仕事が出来る。

この考えは間違いだったと思わない。

思ってなかった。

名取と話すまでは。

俺だって元に戻りたい。今でも麻莉が好きだ。

でも、波留さんに秘密を握られてるから、元には戻れない。

波留さんもきっと俺の事なんか別に好きなわけじゃない。

ただ、麻莉に勝ちたかっただけ。

それでも、向こうから別れるって言わないと何も出来ない。

麻莉を傷つけて、麻莉を守ろうとした。

麻莉は、あれから1年前の笑顔を見せない。

俺は、自分から振ったのに麻莉を目で追ってる。

俺は…

「俺はバカだな。」

1人で呟く。

でも…どうする?どしたら良かった?

わからないから…バカなんだ。

今ならわかる。麻莉を傷つけて、麻莉を守っても…

無意味なこと。

…波留さんのとこに行かなきゃ行けない。

結局…ダメだな。
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