彼は私の子供です。



「どうした?!」





救いの手が差し伸べられた気がした。




甘えてもいいんだよ



って。




私は健太に、とりあえず今あった出来事を話した。




たかちゃんのことは軽くだけど話したことがあったから、健太はすぐに状況を理解してくれた。





「沙知、あと2日、頑張れるか?それとも…………」




「やるよ!最後まで頑張るって決めてたから、私頑張れる」




切れたはずのエンジンが、また動きだした。



健太がエンジンをかけてくれたんだ。




私、健太に支えてもらってるね。




「沙知」




俯いた顔を上げたら。




待っていたのは健太からのキス。




初めてキスをした。




キスをされたら頑張れないと思った。




好きな人がいる前で、知らない男に笑顔を振り撒く私を。




健太はどう思うだろう。



私もツラい。





「キスされたら健太が気になって仕事ができないじゃない…」




私はまた泣いた。




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