マジックストーン

揺れる気持ち



 ◇◇◇


 夏休みも終わり新学期を向えた――のはいいんだけど。

「どーして神崎先輩が私の席に着いてるんですか」

「優衣ちゃんを愛してるから」

 きゃぁあああっ! って教室が黄色い声一色になっちゃったじゃないですか。

 朝っぱらから何考えてるかさっぱりなんですけど。

「ねえねえっ。やっぱり優衣ちゃんはメイドかな? あ!でも、猫耳もいいよね〜。それとも、ナースとかは? まあ、俺は優衣ちゃんがミニスカート履いてくれるなら何でもいいんだけど。 ねえ、どれがいい?」

 楽しそうに言葉を続ける神崎先輩は最後私に問い掛けた。首を傾げ上目遣いで。

 ポカーンと口を開ける私とは対照的に梨海ちゃんは「ふんっ」と一蹴し、「優衣にはメイドって決まってるじゃないですか」と――ええっ?! 私、メイドって決まってるの?!

「やっぱり梨海ちゃんもそう思う?」

「ナースはあり得ないですね。優衣にはフェロモンが足りません。着させるなら、メイドか猫耳ですよ」

 な、何の話なんだろ……?

 メイド、猫耳、ナース、着させる……もしかしてコスプレのはな――え? そうなの? コスプレについてこんな大胆に話してるの?

 ……だ、だとしたら! メイドだなんて絶対イヤァアアア!!!!

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