Memories - 年の差恋愛 -
「どうして…」

倒れたのが元奥さんで。

病院にいたとはいえ、朝までずっと一緒にいたことを教えてほしかった。

病院にいたから連絡できなかったとしても、帰宅してからでも教えてほしかった。

…こんな、まるで盗み聞きするような形で知りたくなかったのに。

「ごめん…隠しておくつもりはなかったんだ」

「すごく、辛かったよ」

枯れたかと思った涙が、再び溢れ出す。

でも、さっきと違うのは自分から飛田さんに抱きついたこと。

涙があふれるまま彼の首にしがみつくようにして抱きつくと、飛田さんはやさしく私の背中に腕をまわして抱きしめてくれた。

「本当にごめん。まさかこんなに苦しめるなんて…」

「うん…話してほしかった…」

それから飛田さんは、私を不安にさせたくなくて話さなかったことを教えてくれた。

余計なことを言うことで、不安にさせるんじゃないかって。

「彼女とはもう何もないから。だから、信じて?」

そっと私の肩に手を置いて顔を覗き込んできた飛田さんに、小さく頷く。
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