僕の女王様
「したくなったから」


他に理由は思いつかない。


「………したくなったら誰とでもするの?」


俯き加減で言う千里は可愛い。


「したくなったらするかも……でも、はじめてだし」


そう答えれば、女王様は、始めて眉を潜める。


「初めてなんだ……」


確認するように尋ねられれば、もう一度思い出を確認する。


彼女どころか好きな人すらいた記憶がない。


と、言う結論に達する。


「うん、初めて」


そう答えれば女王様は機嫌を直してくれると思っていた。
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