加納欄の催眠術 シリーズ8
それから祥子先輩に呼ばれたのは、お昼を過ぎてからだった。

今の事件の報告をしようと、苫利先輩と戻って来たときに、声をかけられた。

グイッと肩を捕まれ、空いている取調室に連れ込まれた。

「どうしたんですか?」

「どうしても我慢できないのよ」

「薬でもヤってるんですか?」

「何言ってんのよ、違うわよ」

バシン!と、肩を叩かれた。


(:_;)


冗談通じないんだから。


「今日あいてるでしょ?付き合いなさいよ」

「今日はぁぁぁ」

だいたい、こういうパターンはロクな事がない。

断るに限る。

「予定がぁぁぁ」

「キャンセルよ!」

どんな予定かさえも聞いてくれない。

「欄、あたしの誘い、断るの?」

「あ、いえ。断るんじゃなくて、予定が……」

もう少しねばってみた。

「…………」

祥子先輩が、突然ニコ~って笑った。


こ、恐い。


「行きます!……話しの内容によって……」

速攻返事したけど、最後のほうは、小声になっていた。

「6時に、声かけるから」

そう言って、また祥子先輩は、自分の仕事へ戻ってしまった。


どうしよう。


先輩達に言っとくべき?


「ありゃあ、何か企んでるぞ」

背後に、大山先輩が、立っていた。

「見てたんですか」

「まぁな」

「なんだと思います?」

「さぁな。祥子のことだから、飲み会とかじゃねぇのか?」

「…………だといいんですけど」

「まぁ気にするな。下らない事だから」


もぉ、言い切らないで下さいよ。


あたしだって、そう思ってるんだから。


「それより、課長呼んでたぞ」

「それを早く言って下さいよ!」

あたしは、自分が何しに署に1度戻ってきたのかを思い出し、慌てて、課長の所へ行った。

時間は、あっという間に流れ、時刻は夕方の6時になろうとしていた。

仕事も後は、事務処理で終りそうだった。

祥子先輩は、まだ署に戻って来ていなかった。

それから30分後。

祥子先輩から、電話があった。

「今から、緑ヶ丘公園に来て」

「え?公園ですか?」


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