加納欄の催眠術 シリーズ8
「そうよ、大至急よ!」

「……わかりました。緑ヶ丘公園ですね」

あたしは、ため息まじりに南署を出た。

大山先輩にも高遠先輩にも連絡いれなかったけど、ま、いっか。

あたしは、車に乗り、祥子先輩が指定した緑ヶ丘公園へ向かった。




緑ヶ丘公園へ着いて、祥子先輩を探した。

「欄ちゃん」

祥子先輩が、声を掛けてきた。

祥子先輩の姿は、さっきと違ってて、赤色の縁取のメガネに、白をベースにしたワンピースで現れた。

「どうしたんですか?洋服着替えて」


ホントに、飲み会か?


「どお?女子大生に見える?」

「え、えぇ。見ようによっては、大学生って、何年も留年してる人いっぱいいますもんね」

「あんた、ケンカうってんの?」

「…………何をしようと、してるんです」

だいたい、予想はついた。

「ここで、被害でてんのよ」

「犯人が今日来る予定なんですか?犯人のめぼしついてるんですか?」

「それは……ないわよ。だけど!」

未だに犯人がなかなか捕まらない理由の1つに、被害届けを出した子達の、犯人の顔が全て一致していないのだ。

催眠術にかけられた。

と、言うことは一緒なのだが、顔モンタージュになると、全くの別人なのだ。

その為警察は、複数犯の可能性も、考えるしかなかった。

「どうやって逮捕するんです?」

「あたしが、囮になるのよ」

「祥子先輩が?」

「やるしかないじゃない!」


やるしかないじゃない。って……。


「あたし1人じゃ犯人逮捕出来ないかもしれないじゃない。あたしが、その催眠術にかかったら、どうなるかわかんないし、催眠術をどうやっているのか、欄ちゃんに見ててもらいたいのよ」

「祥子先輩……」

「お願い。どうしても許せないのよ。別に、手柄を取りたいとか考えてるわけじゃないわよ!こんな卑劣な犯人が未だに逮捕出来ないのが許せないのよ」

こんなに、感情的になってる祥子先輩を、久々にみた。


……何か、あったのかな。


何言っても、聞かないだろうな……。


今日、張り込んで来なかったら、また違う手を考えて諦めさせるか。


署場嵐やってるのバレたら。


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