芋女
「おはよー葵!」
「おはよ希帆っ」
上は中学校指定の蛍光色に近い紫のジャージを着て、下は普通の紺色のハーフパンツ。
自転車にまたがって海沿いを走る。
左は山、右は海にはさまれたコンクリートの道を潮風をうけながら走る。
横を向くと、風になびく希帆の髪が太陽の光に反射して綺麗に映っていた。
「どしたん?前!危ないよっ」
希帆がこっちを向いて前を指差した。
ガードレールに突っ込みそうになる寸前。
「危なあっ!…ごめん、希帆にみとれとった」
あたしが笑いながらそう言うと、
「馬鹿やん」
と希帆も笑った。