芋女
希帆の家に着き、あたしたちは雑誌を広げて寝転んでいた。
雑誌の中に広がる都会の世界にあたしたちは憧れを持っていた。
「モデルってみんな可愛いよね~…。
毎日こんな可愛い服着とんのかな?」
頬杖をつきながら希帆は言った。
「んー…どうなんやろ…でも希帆ならモデルになれるんちゃう!?」
「ありえんし。そんな夢みたいなこと言わんといてよー」
ページをめくる度、違う世界が広がる。
華やかで、おしゃれで、あたしたちとは程遠すぎる世界。
「はぁ…渋谷とか、原宿とかの特集ってさあ。
行けも出来へん人はどうすればいいんって話やよね」
希帆は暗い顔をして、雑誌に顔を突っ伏せた。
「まあまあ。大人になったら行けるって!」
あたしは希帆の肩を2、3回叩いた。
そのときだった。