ハルのためなら【短編】

あのあと何度かけても携帯はつながらなかった




こんなとき頼りになるのはあの人しかいない

私は自宅に急いで帰った




玄関を開けるとお母さんが私に声をかけてきた

「お帰りセツ。ちょうどよかった、話があったのよ」

のんびりとした口調で話すお母さんを完全に無視して

あの人の部屋を目指した

「あ、セツ、待って…」

お母さんがそんなことをつぶやいたけど今の私には全く聞こえなくて

ノックもしないでその部屋の扉を開いた