お姫様と1.5人の男
そしてまたやってくる桜の大木前。玄一さんがモジモジしている。

乙女の仕草じゃないの?それって。桜太君の姿でされても、やや気味が悪い。


「雪佳ちゃん、儂は今日も大吉が出たらやろうと決めていた事があってのう……」


きっと玄一さんはドキドキしている。だって言葉が微かに震えているんだもの。

いくら周りからあたしは鈍感だって言われても、これくらいは分かるよ。


「儂な、肝心な事を忘れておった」


すると玄一さんはポケットに手を突っ込む。

そこで何を思ったのかあたしに目を閉じて欲しいと言う。

ほんの僅か目を閉じる。玄一さんの気配が近い事が目を閉じていても分かる。

その気配もすぐに遠ざかり、玄一さんに目を開けてと言われるがままに指示に従う。

すぐに視界に入る胸元。首にはシルバーのネックレスがかけられていて、

先には輪っか……シルバーリングが。そこにはキラッと小さく光る水色の石。
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