お姫様と1.5人の男
今此処で言葉を口にしたら、お前誰と話しているんだ状態になる。

それだけはどうしても避けたい。玄一さんには悪いけれどね。


『む、無視なんて……そんなに儂とのキッスが嫌だったのかい?』


玄一さんは悲しそうにあたしの耳元で嘆いている。

無視しないといけない理由があるんです。でも嫌だった、というのは当たっているかも。

だって……ねえ?あたしにはそれなりの覚悟も出来ていなかったし、

誰でもいきなりキスをされれば喜ぶなんて限らないし。

玄一さんとは今は“夫婦”関係だとは言え、こんなのはない。

こんな事思うのは失礼かもしれない。けど、このキスはとてもとても苦しいよ。

嬉しくなんかない。
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