ネオン

今日買った服を持ちながら、

あたしは歌舞伎町を一人で歩いた。


深夜2時。


眠らない街。


人が沢山居る。


新宿で遊んだことは何回もあったけど、

歌舞伎町に足を運ぶことはなかった。


東京生まれなのに、観光しているような気分。


大勢の人達は、みんなきっと、ほとんどが、水商売に携わる人。

お酒を飲んで、話をして、お金を貰って・・・。


その一員になったことが、なんだか少し、あたしを優越感に浸らせていた。


五万円の入った財布を持って、

ピンヒールの靴を履きながら

コテで巻いた派手な頭が


なんだか自分に自信をつけてくれていた。




明日は学校だ。

早く帰ろう。


そう思ってタクシーを探して、あたしはあたりを見回した。



近くに空車のタクシーが一台。


あれにしよう。


あたしは小走りでタクシーのところまで向かった。






ドン。



「いった!!」


「あ、ごめんね!大丈夫?」


肩を抑えながらあたしは顔を上げた。





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