ネオン
「いや…いいです。」


あたしはにもつをまとめた。


「ありがとうございました。」


頭を下げ、あたしはくるりとそいつに背を向けた。




「待って!」



あぁ。本当しつこい。

逆に尊敬。

カツカツとパンプスのヒールを鳴らしながらあたしは足速に駅へ向かった。




「神崎さやか!知ってますか!?」


男は大声で叫んだ。


あたしは足を止めた。


【元歌舞伎町No.1キャバ嬢】を謳い文句にしたモデル。



あたしが大好きなモデル。


「さやかをスカウトしたの。僕です。お姉さん、僕、お姉さんなら…。」


男は息切れしていた。





そしてあたしは知らないうちに、新宿駅に背を向けていた。
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