ネオン

なんだか自然に涙が出た。


この仕事を始めてから、


こういう瞬間が増えた。



愛というあたし。

琴音というあたし。



境目が、分からなくなるときがある。



愛は完璧でないといけない。



常に沢山の人に愛される愛で無いといけないんだ。





あたしは知らない間に、とてつもないプレッシャーに圧迫されていた。






「キャンディー、ポーチ、踏んでる。」


キャンディの足の下には仕事で使うポーチが下敷きされていた。


ポーチをずらすように引っ張ると、中から白い紙が落ちた。




「・・・純君。」




純君の名刺だ。


アドレスしか書いてない。




元気かな。





たった3日前に会ったばかりだけど。







あたしは題名も本文もなしでメールを打った。
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