ネオン
「お隣ご紹介します、愛さんです。」
「愛です、お邪魔します。」
あたしはにっこりと作り笑顔をしてそのお客さんの隣に腰をかけた。
「あ、君、可愛いじゃん。」
細身のスーツに身を包んだ30代後半くらいの男性。
鞄はボッテガ。
時計は多分・・・フランクミューラー。
「ありがとうございます。嬉しいです。」
「なんか、ういういしい感じだけど。」
「あ、はい、今日が初めてなんです。」
そういうと男性は飲んでいたグラスの手を止めた。
「マジ?わ~、緊張するでしょ。
なんでまたキャバクラなわけ?」
「あんまり・・・理由はないです、なんとなく。」
「自分で面接来たの?」
「いえ、スカウトしてもらいました。」
「誰に?」
「えーっと・・・佐藤さん、だったかな?」
「本当に?それは逸材かもね。」
そういって男性はアハハと笑った。
「俺、結構この店ばっかり来るから、色々知ってるんだけどさ。
佐藤の子って大体原石持ってる子多いと思うよ。」
「はぁ・・・自分じゃわかんないですけどね・・・。」
「そうだよね。あ、名前なんていうの?」
「愛です。」
「愛ちゃんかー。俺佐伯。よろしくね。」
「はい、よろしくお願いします。」