tears
はぁ?
訳判んないうちに抱き締められて、頭が沸騰しそうだ、
さっきまで鬱々としてた気持ちが、一気に溢れだして、
思わず力のないパンチを食らわせていた。
「ちょっ、おまっ!ふざ、け・・・んな・・・だったら・・・もっと早く・・・連絡、寄越せ、クソヤロー・・・」
男の前で泣くなんて、多分産まれて初めてだ。
私はどんなときも、隣でメソメソ泣いてしまうルネを尻目に、泣かないで立ってきた。(と思う)
「あぁ~泣いたらあかんてぇ!
ネネ、な?
・・・俺も怖かったんやで。
ネネに嫌われてしもた、もうおしまいや、言うてな・・・本気やぞ」
「うるせぇ信用できるかバカヤロー・・・」
「今はえぇて。本気なのが伝わればえぇねん」
朝、通勤時間。
こんなに泣き腫らした目じゃ会社になんていけねぇよ。
スペインの腕の中は暖かくて、何だかすごく安心した。
「内川、私、私・・・内川、さん、の、ことが・・・」
「・・・うん。ゆっくりでえぇで」
少しずつ唇が近づく・・・私は目を閉じる。
こういうことになると、私は大体ビビって逃げるのに、今だけは怖くない・・・
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