准教授 高野先生のこと
試験場には来場者用の駐車場は無く、先生は近くのコインパーキングを利用していた。
「来場者用の駐車場がないなんて、なんか随分不便なんですね」
この街は一世帯あたりの車の保有台数が割と多め。
ここはそういう地域なのに?
「うっかり仮免の人が車で試験場に来ないようにじゃないですかね」
先生はそんなことを言って小さく笑った。
コンビニで飲み物とおやつを買って準備万端!
先生が画面を見ながらポチポチとナビをセットする。
―― 目的地までの所要時間はおよそ……
ナビの声に俄然気分が高まってくる。
「じゃあ、行きますか」
「はいっ」
―― 案内を開始します。
いつもとはちょっと違う休日仕様の二人を乗せて、車は快調に走り出した。