准教授 高野先生のこと

そうして先生は私の頭をくしゃりと撫でた。


「送りますね、今夜は」


なんだかとても残念なような、安心したような……。


「明日、出張で朝が早いんです。だから」

「はぁ……」


なんかほーんと私って先生の手のひらの上でころころと転がされてる。


悔しいような、やっぱり嬉しいような……。



その日は初めていつものコンビニじゃなく、もっとウチのすぐそばまで送ってもらった。


「今週会うのは無理みたいなんだ」

先生は学生さんの教育実習先を訪問する出張があるのだと教えてくれた。


さらに土曜日は推薦入試で面接官に当たっているのだ、と。


仕事とはいえ、仕方のないこととはいえ、会えないなんてしゅんと淋しくなった。




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