准教授 高野先生のこと

仰向けにされて俯くこともできず、私はびくびくおどおど視線を泳がせた。


覚悟がなかったわけじゃない。

だけど――

いざとなるとやっぱり気後れしてしまう。

怖気づいて今にも逃げ出したくなるような。

どうにかコトを先送りしたくなるような。


“万事休す”

“人事を尽くして天命を待つ”

そんな言葉が頭にぽんと浮かんだけれど、どちらの言葉もこの状況には合ってない。



裸眼で眼鏡なしでも支障がないほど至近距離。

私の知らない先生の顔がすぐそこに……。

もう逃げられない、もう引けない。

覚悟を決めて目を閉じる。

電気ついたままなんだけど消してもらえるのかなぁ……。

このままパジャマ脱がされちゃうのかなぁ……。

そんなことをけっこう真剣に考えた。


けれども――


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