准教授 高野先生のこと
先生が少し困った顔をして、私をベッドの端に座らせる。
そして自分も隣りに掛けた。
「怒ってるの?」
「怒ってないです、ぜんぜん」
「怒ってるじゃない……」
「だって、いつも……」
「いつも?」
「いつだって先生は余裕で、私ばっかりいっぱいいっぱいで。なんか悔しいです」
あーあー、言っちゃった……。
こんな気持ち、抱えてるだけでも嫌になるのに吐露してしまうなんてもう……。
ますます自分が子どもだなっていう現実をひどく思い知らされる。
「余裕なんてないよ」
「えっ」
先生はその長い指を私の髪にさくりと入れて優しく梳いた。
そうしながら、とても切なそうな目をして私をじっと深く見つめた。
「君といるときは、いつだって……」
「えと……あの……」
「僕は、余裕なんてない」
「あぁっ……!」
瞬間――
いとも簡単に、あっさりとあっけなく、私はころんと押し倒された。