准教授 高野先生のこと
目を開けると先生が静かな表情で私を見てた。
まったく……。
こういうのを狐につままれるっていうに違いない。
先生はよっこらしょっとやや放心状態の私の体を真っ直ぐに寝かせなおした。
そして、眼鏡を外して枕元の本の上にことんと置くと――
「僕、壁がないと落ち着かなくて」
などとのんきなことを言って、壁を背に私の隣に自分もごろんと横になった。
眼鏡なしの先生の顔。
こんなに間近にじっと見るのは初めてだ。
それにしても――
なんだか真剣な覚悟を茶化された気がして、私は抗議したい気持ちになった。
「先生、こんなのって……」
「ふざけてるわけでもからかっているわけでもないんだ、本当に」
先生……???
ひどく困ったような先生の表情に思わず驚く。
そして、先生は私の戸惑いを察したように静かにわけを話し始めた。