准教授 高野先生のこと

「余裕がないのは本当だけど。

それでも――

いつでも、何だって、君次第じゃなきゃって。

そう思ってきたし、今も思ってる。


なにしろ僕は臆病者だからね。

もし君に嫌われたら、拒まれたら、疎まれたら……。

それを思うと怖くて仕方がないんだよ。


初めての恋愛じゃないにしろ、僕には久しぶりの恋愛だし。

なんとなく、距離の縮め方を迷ってしまうし。

考えるほど臆病になる。


こういう言い方もなんだけど、きっと……。

僕は君が想像する以上に――

ずっとずっと君のことが好きだと思う。


だからこそ不安になってしまう。


それが、重すぎて、重さに耐えかねて君の心が――

軋んでしまうんじゃないか……。

たわんでしまうんじゃないか……。


そうして――

君の心が僕から離れてしまうんじゃないかって……。



本当に、君のことを抱きたいよ。

今までだって幾度となくそれを考えたよ。


だけど……。

君を抱いてしまったら、きっと僕は……。

もっともっと君のことが好きになる。


いい年をして、それがなんだか少し怖いんだ。


自分でも、ほんと女々しいなぁと思うけど。

そんなだから、いまひとつ男らしく強引になれない……。


だからいつも、君に委ねるような言い方をする。

君の心の重荷になりたくないと言いつつ、

僕は、そうして君の心に重しをかけてる。


まあ、なんていうか――

君はいつも自分は子どもで、僕は大人と言うけれど。

そんなこと、決してないんだよ。


僕は君といるとき立派な大人でもないし。

先生でもない。

君のことが好きなただの弱気な男だよ」




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