准教授 高野先生のこと

体のことは心配だったけど秋ちゃんが居てくれるのは正直心強かった。

なにしろ秋ちゃんは私と高野先生の仲を知っている。

だから不穏な空気が流れたらフォローしてくれるかも?なんて期待した。

先生にも秋ちゃんにだけは二人の関係を打ち明けたって報告済みだし。


もうすっかり通い慣れた研究室なのに、さすがに今日はやや緊張。

いざドアの前に立ち、真中君は貼紙やら行先表示器やらをしげしげと眺めた。

「ここが虎の穴かぁ」

「虎の穴?なにそれ?」

「アッキーには教えなーい」

そんな二人のやりとりを気にも留めず。

私が意を決してドアをノックしようとしたそのとき――

「あ、いらっしゃい。どうぞ」

外の声に気づいた先生がドアを開けて招き入れてくれた。

「こんにち、は」

「こんにちは、詩織さん」

先生はいつもの先生なのに、私の笑顔は完全に不自然そのものだった。



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