准教授 高野先生のこと
大学卒業後、私は同じ市内にある他大学の大学院に進学した。
修士1年。
夏の終わりか秋の初めくらいの季節。
高野先生は私の指導教授の研究室にやって来た。
学会の会報誌への寄稿を頼みにきたとのこと。
たぶん……先生に会うのは卒業式以来。
正確には――
“先生に会う”というより“先生を見る”というのが正しいかも……。
“1:多”
典型的な教員と学生の関係性。
一学生からは普通に先生が見えるけど、先生からは一学生なんて見えやしない。
完全な一方通行の視線?みたいな。