准教授 高野先生のこと
指導教授の並木先生は、門下の学生として私を高野先生に紹介した。
「彼女、僕の学生の鈴木さん」
だけど――
「あれ?高野君の教え子じゃない?」
すぐに私の母校のことを思い出し、高野先生と私の顔を交互に見遣った。
「先生の講義、とってました」
「そうなんですか?」
高野先生はやや驚き、そして……明らかに“僕知らないよ”って顔をした。
まあ、当然というか……。
高野先生は私のことを覚えてはいなかった。
だからといって――
別にショックじゃないけれど。