准教授 高野先生のこと
「すぐに返事がくるという前提で手紙を書く人はあまり居ないと思うんです。
僕にとってはメールにもあてはまるんですよね、その大前提が。
だから、ついつい返信はいつもバッチ処理になってしまう……。
あとで返信すればいいやというやつです、まさに。
勿論、内容にもよります。
“連絡が取りたい”などという用件なら、それこそできるだけ早く返信しますし。
待ち合わせのトラブルなどではメールも電話も両方使います。
ですが――
やっぱり僕にとってのメールは基本的には一方通行の伝達手段だったんです。
必ずインタラクティブだという前提ではないんです。
まあ、なにしろそういう考えを持っているものですから――
僕は相手に素早いレスポンスを期待しないかわりに、逆にそれを求められても応えきれないところがあったんです。
だから返事が必要な用件では今もあまりメールを使いません。
サッと電話してザッと話してしまったほうが確実で早いですから。
先方の状況を気遣って……という人がいますが、結局は同じです。
メールも電話も相手を煩わせることにはかわらないんですから。
気になるのであれば、それこそ電話をしてもよいかのメールを事前に送ればいいことです。
話せば簡単なことを、わざわざ長々とメールで送られるよりも余程親切でしょう。
返事をするほうだって、話せば簡単なことなのに、メールにはメールで返答しなければなどと気をつかったりするものです。
つまるところ――
僕はメールがものすごく苦手というか……嫌いだったんです」