准教授 高野先生のこと
私はすっかり忘れてしまっていたんだ。
高野先生が細やかな優しさを持った“先生”であることを。
高野先生はとても大人で、私はひどく子供だということを。
子供な私はまったくわかっていなかったんだ。
大人には行ったっきりの世界があるということを。
先生は先生として、そんな寒々とした淋しい世界を子供に見せまいとしてたんだ。
これが恋に恋するということなのだろうか……。
すべてが独りよがりだった気がして恥ずかしくて。
まっすぐに先生をみていた気になっていた自分が愚かしくて。
先生と向き合えてる、なんて……。
そう勝手に思い込んでいた自分が、ひどく浅はかで、おこがましくて。
泪さえも出ないほどに、すごくすごく情けなかった。