准教授 高野先生のこと
私はがっくりうな垂れた。
心は空っぽで、何一つ残らない空き箱のよう……。
先生にあげられるものなんて、自分には何にもありはしないんだ。
それいぜんに――
私から何かをもらおうなんて、先生は思ってなんかいないんだ。
「詩織さん……?」
大好きな先生はすぐそばにいるはずなのに。
なのに――
その声は、とても遠くから聞こえてくるようで……。
おずおずのろのろ顔をあげると――
先生が心配そうな目でじっと私を見つめていた。
「僕は、ときどき……やきもきしてしまうんです」
先生……???
なんだかとても困ったような切なそうな表情の高野先生。
私はただじっと耳を澄ませて、静かに先生の言葉を待った。